未来観測新聞
登録なしで全文公開トップで紹介中の最新記事
AIAIエージェント

AIがサイバー攻撃の調査と対応へ OpenAI、Sophosの89秒の運用事例を公開

この記事を共有

ニュースの要点

OpenAIは10月9日、SophosがAIでサイバー攻撃を調べる運用事例を公開しました。AIを使う案件の平均対応時間は約38分から89秒へ短縮し、判断や操作の範囲は顧客の設定と専門家の監督に合わせています。

攻撃の手がかりと調査の順序、対応案を画面に整理するサイバーセキュリティの仕事を描いた想像図。

OpenAIは10月9日、サイバーセキュリティ企業Sophosによる「Daybreak」の活用事例を公開しました。Sophosの説明では、AIエージェントを使う案件の平均対応時間は約38分から89秒へ短縮しました。OpenAIは調査時間の短縮を96%と紹介しています。

AIは、顧客の環境、検知した異常、攻撃の手がかりを集め、調査の計画を立てます。計画を実行して見直し、専門家が確認する対応案をまとめます。別のAIが対応の一部を実行する仕組みも組み合わせています。

Sophosによると、攻撃の検知と対応を引き受けるMDRサービスの案件の52%を、専門家が決めた範囲でAIが最初から最後まで処理しています。89秒と52%は、Sophosが6月の発表でも示した運用値です。今回の事例は、その仕事の進め方を詳しく説明しています。

顧客は、調査と提案を受けて自分で対応する、Sophosと相談して対応する、Sophosへ対応を任せる、という3つの方式を選べます。人とAIの双方に同じ権限の境界を設け、破壊的な操作には適切な人の監督を付けると説明しています。

このニュースをやさしく解説

要点

SophosのAIは、攻撃の手がかりを調べて対応案を作り、別のAIが対処の一部を実行します。利用する企業は、人とAIにどこまで任せるかを選べます。

攻撃の手がかりを調べる

Sophosは、企業をサイバー攻撃から守る会社です。攻撃を見つけて対応するサービスはMDRと呼ばれます。今回のAIは、顧客が使うコンピューターなどの環境、見つかった異常、攻撃の手がかりや脅威に関する情報を集めます。

集めた情報をもとに、何をどの順に調べるか計画を立てます。実際に調べた結果を見ながら計画を見直し、専門家が確認する対応案までまとめる流れです。

調査から対処へつなぐ

ここでいうAIエージェントは、任された仕事に合わせて手順を考え、実行するAIです。Sophosは、調査を担当するAIと、対応の一部を実行する別のAIを組み合わせています。何が起きたかを調べる仕事と、その結果をもとに対処する仕事を分担しています。

任せる範囲を人が選ぶ

利用する企業は、提案を受けて自社で対応する、Sophosと相談して対応する、Sophosに任せる、という三つの方式を選べます。どこまで代わりに動いてよいかを決める選択です。人とAIには同じ権限の範囲を適用し、破壊的な操作には適切な人の監督を付けると説明しています。

専門家の仕事の変化

OpenAIが今回詳しく紹介したのは、こうした調査と対応の進め方です。時間短縮やAIによる処理の割合は、Sophosの以前の発表にも登場しています。

調べる作業をAIに任せられる範囲が広がれば、専門家は対応案の確認や、人の判断が必要な場面に時間を使いやすくなります。利用する企業にとっては、問題への対処を早く進めながら、仕事への影響を専門家と確かめる働き方につながりそうです。

この記事に出てくる用語を確認する
MDR
サイバー攻撃の検知と対応を、外部の専門家やサービスが引き受ける仕組みです。
AIエージェント
任された仕事を進めるために、手順を考えて実行するAIです。今回の事例では調査や対処を担当します。
権限
人やAIが、どこまで操作してよいかという許可の範囲です。
解説の参考資料

本誌の考察

調査を任せ、暮らしへの影響を人が選ぶ

今回の事例では、調査から対応までをつなぎ、その仕事をどこまで任せるか人が選べる点に注目しています。異常を見つけた後には、手がかりを集め、対処を考え、必要な操作をする仕事が続きます。AIがその流れを受け持てる範囲が広がると、人は調査結果を読み、商売や生活への影響を考えるところに力を使いやすくなります。

この仕組みが、少人数で営む店にも使いやすい形で広がった未来を想像してみます。閉店後、予約を管理する端末に不審な動きが見つかると、AIが調査を進めます。店の仕事の流れも把握できれば、端末を止めた場合に何が困るかまで説明できるでしょう。店主は、翌朝の予約を確かめる方法を確保してから、提案された対処を選べます。

そのとき、店主の希望を操作の許可へ細かく反映できることが役立ちます。すぐに任せる処置と、相談して決める処置をあらかじめ分けておけば、毎回すべてを判断する負担も減らせそうです。専門家に相談できるサービスが小さな店にも手の届く料金で広がれば、夜中の異常への対応まで、一人で店を営む人の仕事を支えられます。

さらに、家庭の機器も調べて操作できるようになれば、留守宅の見守りカメラにも応用が考えられます。家族が使う接続と不審な接続を見分け、必要な通信を残して対処する。そんな機能と権限の設定がそろえば、旅行中の家族は、家の映像を確認しながら対処を任せられます。何が起き、何を止めたかを、専門用語を使わずに知らせる画面も欲しくなります。

こうした家庭向けの仕組みが育つと、新しい機器を迎えるときの設定も変わるかもしれません。誰と映像を共有したいか、異常が起きたらどこまで操作を任せるかを家族で選び、その希望に沿ってAIが調査と対処を続けます。旅行前には留守中の予定を伝え、帰宅後には対応の記録を確かめる。家の機器を守る仕事まで、日々の予定に合わせて頼める暮らしが見えてきます。

参考資料

無料会員で、もっと読む

気になる未来を、これからも。

無料会員は、ニュースを週3本まで全文で読めます。やさしい解説と本誌の考察で、日々の進歩を追いかけられます。

無料会員に登録する

カード登録不要。気になる記事の保存や、新着メールの設定もできます。