NVIDIA、AI施設の共通設計を公開 ラックや電源・冷却の規格をそろえる
ニュースの要点
NVIDIAは10月12日、次世代AIシステムVera Rubinのラックや計算機を載せる棚の設計を、業界の共同開発団体OCPへ提供したと発表しました。電源、冷却、通信を共通の規格で組み合わせ、各社がAI施設を作りやすくする取り組みです。

NVIDIAは10月12日、米サンノゼで開かれたOpen Compute Project(OCP)の会合に合わせ、次世代AIシステムVera Rubinのラックと計算機を載せる棚の設計を、業界で共通利用するために提供したと発表しました。MGXと呼ぶ設計を通じ、機器メーカーが電源や冷却、通信を組み合わせ、AI施設で使う接続の規格をそろえます。
更新したMGX 1.2では、差し込んで接続できる液体冷却の仕組みや、共通の電源・冷却接続、冷却液を使う計算機の棚などを採用しています。同社は、最大250キロワットのラック構成に対応する設計と説明しています。この数値は設計が対応する電力の規模です。組立、検査、修理の手順も簡単にし、設備を再利用しやすくするとしています。
施設全体の電源や冷却、配置をそろえるOpen Data Center Specification v0.7の公開には、AMD、Google、Metaも参加しました。さらにGoogle、Meta、Microsoft、NVIDIAは、電力網に変動が起きた際の対応を共通化する仕様を公開しています。機器だけでなく、施設と電力網をつなぐ条件もそろえる取り組みです。
NVIDIAは、AI施設の運用を支えるDSXについて、ネットワーク設定や計算機の事前検査、ラック管理、機器の準備を担うソフトウェア部品も公開しました。AIが作業で使う道具を呼び出し、処理の順番を管理する用途に向けたVera CPUラックの設計も紹介しています。
このニュースをやさしく解説
要点
AI施設の機器を組み合わせやすくするため、ラックや電源、冷却、通信のつなぎ方をそろえる取り組みです。NVIDIAは設計と運用ソフトウェアの部品を公開し、各社が利用できるようにしています。
AIを動かす機器と施設の設計
AI施設には、AIの計算を担うコンピューターと、それを動かす電源や冷却の設備があります。コンピューターを収める大きな棚がラックです。機器を増やすには、電気を届け、熱を逃がし、機器同士を通信でつなぐ準備が要ります。
NVIDIAは、次世代AIシステムVera Rubin向けのラックや計算機を載せる棚の設計を、共同開発団体OCPへ提供しました。MGXという共通設計を通じ、機器を組み合わせる条件をそろえます。
接続をそろえる利点
更新版のMGX 1.2では、電源や冷却の接続を共通化し、差し込んで接続できる液体冷却の仕組みを採用しています。液体冷却は、冷却液を使って計算機の熱を逃がす方法です。
身近な機器でも、接続部分の規格がそろっていれば、対応する部品を選びやすくなります。AI施設でも、共通の条件に合わせて各社が機器を作れるようにする考え方です。NVIDIAは、組み立てや点検、修理の手順を簡単にし、設備を再利用しやすくすると説明しています。
250キロワットが表すもの
MGX 1.2は、最大250キロワットのラック構成に対応する設計です。この数字は、設計が対応できる電力の規模を表します。大きな電力を使う機器をまとめて動かすため、電源と冷却の接続も一緒に考えます。
施設全体では、電源や冷却、機器の配置をそろえる仕様の公開にAMD、Google、Metaも参加しました。ラックの中から建物全体へと、共通化する範囲が広がっています。
運用するためのソフトも公開
機器をそろえた後は、通信の設定や、使い始める前の検査が必要です。NVIDIAは、これらを担うDSXのソフトウェア部品も公開しました。ラックの管理や機器の準備を支える部品が含まれます。
電力網に変動が起きた際の対応を共通化する仕様も、Google、Meta、Microsoft、NVIDIAが公開しています。機器をつなぐ設計、日々の運用、電力網とのやり取りを、各社でそろえる取り組みです。
この記事に出てくる用語を確認する
- ラック
- コンピューターなどの機器を収める大きな棚です。電源や冷却、通信の接続も含めて設計します。
- MGX
- NVIDIAが提供する、AI施設の機器を組み合わせるための共通設計です。今回、Vera Rubin向けのラックや棚の設計をOCPへ提供しました。
- DSX
- AI施設の運用を支えるNVIDIAの仕組みです。通信設定や機器の事前検査、ラック管理などを担うソフトウェア部品が公開されました。
本誌の考察
共通設計から、暮らしに合う物づくりへ
今回の発表で本誌が注目するのは、AI施設を作り、動かすための設計や手順を各社で使えるようにする点です。電源や冷却の接続に加え、使う前の点検までそろえば、作る会社と使う会社が同じ手順を積み重ねやすくなります。設備の交換や再利用を進めやすくするというNVIDIAの狙いは、その先のAIサービスの作り方にもつながります。
ここからは未来の使い方を想像してみます。共通設計に対応する機器が増え、運用の手間も減らせれば、施設を必要な規模に合わせて増やす選択肢が広がるでしょう。その計算能力を小さな事業者も借りやすくなれば、製品のアイデアを何度も試す仕事に、AIを取り入れやすくなります。
例えば町の家具工房が、客の食卓に合う椅子を作る場面です。閉店前に、座る場所の広さや使いたい材料、好みの形をAIに伝えます。夜の間に仮想空間でいくつもの形を試し、翌朝、職人が作り方や材料の使い方を比べます。職人の判断と試作に、大量の計算を使えるようになれば、小さな工房でも一人の客に向けた設計を深く検討できそうです。
電力網との連携が進み、計算を行う時刻もサービス側で調整できるようになれば、「明日の朝までに仕上げて」と頼む使い方も広がるかもしれません。依頼を受けた施設が、電力の状況と期限を見ながら処理を組み立てます。利用者は必要な結果と受け取る時刻を決め、設備の運用は提供する側へ任せる、という暮らしです。
こうして設計を試す機会が広がれば、身の回りの物にも変化が現れるでしょう。部屋に合う棚、家族が使いやすい食卓、店の広さに合わせた陳列台を、地域の作り手と相談して形にしていく暮らしです。共通の規格でAI施設を作りやすくする進歩が、その先では、一人ひとりの生活に合わせた物づくりを支える可能性があります。
参考資料
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