月の夜も動く探査車PROMISE NASA、2028年末の打ち上げを目指す
ニュースの要点
NASAが、核電池で月の夜や日陰でも動く探査車PROMISEの開発を進め、2028年末の打ち上げを目指すと発表しました。

画像の権利情報
NASAは11月7日、月の南極を調べる探査車PROMISEの開発を進めると発表しました。2028年末の打ち上げを目指し、18か月の基本ミッションを計画しています。人が月に滞在するための基地づくりに向け、地表と地下の状態を調べます。
電源には、放射性物質が自然に出す熱を電気に変える核電池を使います。太陽光に頼らず、長い月の夜や、日が当たらない場所でも調査を続けるためです。深さ約1メートルまで土を掘るドリルや、物質の成分を調べる機器、温度・放射線のセンサーなどを載せます。
製作を担うNASAのジェット推進研究所は、火星探査車Curiosityの地上用試験機の構造や走行部分を活用します。CuriosityとPerseverance向けの予備部品や試験用部品も組み合わせ、開発と試験にかかる時間を短くする方針です。放射線に耐える計算機や、自分で周囲を測って進む技術も実証します。
月への輸送はBlue OriginのMark 1着陸船で行う契約です。今回の発表は、無人の輸送、電力、通信などを少しずつ整え、人が月で生活する準備を進める一連の計画に含まれます。
このニュースをやさしく解説
要点
NASAが開発を進めるPROMISEは、人が月で暮らす準備として、地面や地下の氷などを調べる6輪の探査車です。太陽光に頼らない核電池を使い、月の南極で調査を続ける計画です。
人が住む前に、現地の様子を調べる
月に基地をつくるには、着陸する場所や周囲の環境を詳しく知る必要があります。PROMISEは月の南極を走り、地表や地下の物質、温度、放射線などを調べる探査車です。氷などの資源を探すとともに、今後の着陸場所を選ぶ判断材料を集めます。人が滞在する計画に向け、まず無人の車で現地を確かめる役目です。
太陽が当たらない場所でも電気をつくる
探査車の電源には予備として用意されていたMMRTGという核電池を使います。放射性物質から出る熱を電気に変える装置で、太陽の光を必要としません。NASAはこの電源で、長い月の夜や、太陽光が届かない「永久影」の中でも車を動かす計画です。日差しの有無に左右されず、暗い場所へ進んで調べられることが、この車の特徴です。
地下の物質と、自分で進む技術を調べる
搭載するドリルは地面を約1メートルの深さまで掘る計画です。地表を撮影するカメラに加え、物質にどんな成分が含まれるかを調べる機器なども積みます。また、周囲の地形を測る装置と放射線に強い計算機を使い、車が自分で進路を判断して走る技術も試します。資源の調査と、月でロボットを働かせるための技術開発を一緒に進めます。
火星探査用の部品を生かしてつくる
製作を担うJPLは火星探査車Curiosityの地上用試験機にある電子機器、車体の構造、走るための仕組みを利用します。CuriosityとPerseveranceの予備・試験用の部品も組み合わせる計画です。NASAは2028年末の打ち上げを目指し、基本となる調査期間を18か月としています。月の南極への輸送は、Blue OriginのMark 1着陸船が担う契約です。
この記事に出てくる用語を確認する
- MMRTG(核電池)
- 放射性物質から出る熱を電気に変える装置です。太陽光が届かない場所でも発電できます。
- 永久影
- 太陽光が届かず、常に影になっている場所です。PROMISEは月の南極にある永久影も調べる計画です。
本誌の考察
月の住まい選びは、水を運ぶ道から変わる
PROMISEで注目したいのは、地下の資源を探しながら、月で車を自律走行させる技術も試す点です。この調査が進んだ先の暮らしを想像すると、基地の場所を選ぶ基準も具体的になりそうです。氷がありそうな地点と車の走りやすさが分かれば、技術者は住居と水を取り出す設備をどこに置き、どの道で結ぶかを検討できます。将来、氷を取り出して使える水にする設備が整えば、無人の車が基地と採掘場所を往復する毎日も考えられます。月で生活する人にとって、水をどこからどう運ぶかは、食事や洗濯のしやすさに直結します。探査車の記録は住む場所と日々の補給を一緒に考えるための地図になるでしょう。
さらに自律走行が月で安定して使えるようになれば、地球から月の仕事に関わる人も増えるかもしれません。例えば、地球の事務所で担当者がその日に調べる地点や運ぶ荷物を決め、月の車は周囲を測って進路を選びます。担当者は届いた記録を確かめ、翌日の作業を組み直します。基地の住人が外へ出る回数を減らしながら、水や資材を届ける運用です。調査車に続いて運搬や設備点検のロボットが増えれば、地球に暮らしながら月の生活を支える仕事も身近になるでしょう。月面にいる少人数と、地球から働く人たちが一つの町の毎日を支える未来が見えてきます。
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