東南アジア主要6カ国の生成AI利用者は2億4300万人 Googleなどが新報告書
ニュースの要点
Googleなどが東南アジアのデジタル経済に関する報告書を公表しました。主要6カ国の生成AI利用と、AIへ買い物などを任せたいという意向をまとめています。

画像の権利情報
Google、Temasek、Bain & Companyは10月21日、東南アジアのデジタル経済をまとめた「e-Conomy SEA 2026」を公表しました。インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの主要6カ国で、生成AIの利用者は約2億4300万人に達し、働く世代の人口の58%に相当するとしています。
報告書は、AIに買い物を任せることへの関心も調べています。GoogleとYouGovが2026年7月に主要6カ国のAI利用者9006人へ行った調査では、「AIアシスタントがおおむね信頼できる」とした場合、最安値を探して商品を購入する作業を任せてもよいと答えた人が75%でした。予約の自動調整は59%、動画などの定額サービスの管理は52%でした。
この調査が示すのは、AIに任せたい作業と、そのための条件です。報告書では、個人情報の保護、AIができることの明示、取引を取り消せる仕組みなどを、利用を広げるために必要な条件として挙げています。
地域全体のデジタル経済については、2026年の取引総額を前年より17%多い3680億ドルと見積もり、2035年には1兆ドルを超えると予測しています。取引総額は、電子商取引や旅行予約などで扱われる金額を示す指標です。報告書は、AIの利用を広げるにはデータセンターの整備と電力・推論の効率化も必要になるとしています。
このニュースをやさしく解説
要点
AIを使う人が増えると、何が変わる?、相談から買い物の実行へ、75%という数字の読み方、取引の広がりを支えるものを順に解説します。
AIを使う人が増えると、何が変わる?
今回の報告書は、東南アジアの主要6カ国で、文章や画像を作る生成AIがどの程度使われているかを調べています。利用者数は複数の調査や資料に基づく推計です。インドネシアからベトナムまで、言葉や生活習慣の異なる地域で利用が広がると、企業もAIを使う人に合わせて買い物や予約の仕組みを考えるようになります。報告書全体が扱う10カ国のうち、AI利用について示された数字の対象は6カ国です。
相談から買い物の実行へ
商品についてAIへ相談する場合、最後は人が店を選び、注文します。そこから一歩進め、条件に合う商品を探す作業と購入の手続きまでAIに任せる考え方が、買い物をするAIエージェントです。例えば予算と届けてほしい日を伝え、条件に合う候補を選んでもらう使い方が考えられます。こうした役割を任せるには、利用者がどこまで購入を許し、どこで確認を求めるかを決める必要があります。
75%という数字の読み方
調査で買い物を任せることに前向きだった75%は、主要6カ国で既にAIを使っている9006人に尋ねた結果です。質問には、使うAIがおおむね信用できるという前提が置かれています。この数字を読むと、AIを試している人たちが、信頼できるサービスならどこまで任せたいと考えるかが分かります。商品の選び方を説明できることや、頼んだ取引を取り消せることが、その希望を実際の利用へつなぐ条件になります。
取引の広がりを支えるもの
報告書の「取引総額」は、ネット通販や旅行予約などを通じて売買された金額を合計したものです。サービスを運営する会社には、その取引から手数料などが入ります。AIが商品を比べたり予約を調整したりする回数が増えると、裏側では計算するコンピューターと電力も必要になります。利用を広げる見通しと、データセンターや計算効率の話が一緒に出てくるのは、日々の便利さを支える設備も必要だからです。
この記事に出てくる用語を確認する
- 取引総額
- 商品やサービスの取引で扱われる金額の合計です。企業の売上や利益とは異なります。
本誌の考察
買い物を任せると、店の選ばれ方が変わる
この調査から考えたいのは、買い手が店を見比べる仕事をAIへ渡したとき、売り手の工夫も変わることです。任せたい人が多いという回答は、その変化への入口を示しています。人が広告を見て店へ入る場合と、AIが予算や在庫を照合して候補を出す場合では、商品が選ばれるまでの道筋が変わります。店には、価格に加えて配送日や返品の条件を、AIが正確に読み取れる形で示す価値が生まれそうです。
例えば、こうした買い物が広がった家庭を想像してみます。家族が今週の夕食と使える金額を伝えると、AIが近くの店の在庫を調べ、足りない食材をまとめます。傷みやすい野菜は当日、保存できる品はまとめて届けるように組み合わせる。商品を一つずつ探す手間が減れば、人が決めることは「何を買うか」から「どんな食事や暮らしをしたいか」へ少しずつ移っていきます。
この仕組みに地域の小さな店が参加できれば、検索画面で目立つ広告を出す以外にも、客に選んでもらう道ができます。近くにあること、少量だけ届けられること、今日の入荷が分かることが、特定の家庭には大きな利点になるからです。そのためには、店が在庫や受け渡し条件を簡単に更新でき、買い手のAIが複数の店を比べられることが要ります。普及の次に注目したいのは、小さな店も使える商品情報の整備です。
任せる範囲を細かく選べると、家庭の事情にも合わせやすくなります。いつもの洗剤は自動で補充し、高い家電は候補だけ出す。家族の予定が変わったら注文内容を確認し、不要な分を取り消す。こうした仕組みが整えば、一度の操作で全面的に任せる決断をする必要がなくなり、小さな買い物から経験を重ねられます。調査が前提に置いた信頼も、このような日常のやり取りを通じて具体的になるでしょう。
さらに先では、旅行先や引っ越し先でも、普段の希望を理解するAIが地元の店やサービスを探してくれるかもしれません。地域ごとの言語、決済、配送の仕組みにつながれば、初めて暮らす街で生活を整える負担が軽くなります。多様な国を含む東南アジアでこの形が育つなら、AIに任せる買い物は、慣れた店を便利に使う習慣から、知らない土地でも自分らしく暮らす手段へ広がっていきそうです。
参考資料
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