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生命・医療

米FDA、特定の直腸がんに免疫療法を迅速承認 手術を避ける選択肢に

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ニュースの要点

がんの性質を検査で確かめ、免疫療法と継続的な検査を組み合わせて、手術などを避ける治療の選択肢を米国で認めました。

FDAの正門と医薬品評価研究センターの建物。2010年11月の資料写真です。
画像の権利情報

米食品医薬品局(FDA)は10月19日、免疫療法薬ドスタルリマブ(商品名Jemperli)を、特定の局所進行直腸がんに対して迅速承認しました。対象は、ステージII・IIIの成人で、がんの遺伝子に生じた誤りの修復機能に関わる「MSI-H」または「dMMR」という特徴が、FDAの認めた検査で確認された患者です。

承認の根拠となったAZUR-1試験は、まだ治療を受けていない154人が参加した、多施設での第2相試験です。比較群を設けず、ドスタルリマブ500ミリグラムを3週間ごとに、最大9回投与しました。FDAによると、154人中110人(71%)はこの薬だけで治療し、手術や放射線、追加の薬物治療を受けず、病状の進行もありませんでした。

治療の反応は、内視鏡、直腸のMRI、胸部・腹部・骨盤のCTなどを組み合わせて調べました。がんが臨床検査で見つからなくなる「臨床的完全奏効」が12か月続いた割合は、独立した中央評価で判定可能だった116人の47%でした。追加治療を受けなかった71%とは、評価する内容と対象人数が異なります。

臨床的完全奏効となった患者は、手術を行わずに経過をみる段階へ進みます。最初の2年間は4か月ごと、その後は6か月ごとに複数の検査で再発を確認します。十分な反応が得られない場合や、再発・進行が見られた場合は、担当医が標準治療を検討する仕組みです。

迅速承認は、今後の確認試験や追跡とともに有効性を確かめていく制度です。処方情報には、免疫に関係する副作用や点滴時の反応などへの注意が含まれます。今回は米国での承認で、カナダや英国などの共同審査先では審査が続いています。

このニュースをやさしく解説

要点

がんの性質を検査で確かめ、免疫療法を使った後も定期的な検査を続ける治療が、米国で迅速承認されました。対象となる直腸がんの患者に、手術などを避けて経過をみる選択肢が加わります。

がんの性質を確かめて、治療を選ぶ

今回の対象は、まだ治療を受けていないステージII・IIIの局所進行直腸がんの成人です。さらに、遺伝子に生じた誤りを直す仕組みに関わる「MSI-H」または「dMMR」という特徴が、FDAの認めた検査で確認されていることが条件になります。病気の広がりと、がんが持つ性質を調べたうえで、免疫療法薬ドスタルリマブを使う治療です。

71%と完全奏効は、何を数えた数字か

154人が参加した試験では、110人、割合にして71%がこの薬だけで治療し、追加の治療を受けず、病状の進行もありませんでした。手術や放射線治療、追加の薬物治療を行わずに経過した人を数えた結果です。

がんへの反応は、「臨床的完全奏効」が12か月続いた割合でも調べました。これは、検査でがんが見つからない状態が続くことを指します。独立した中央評価では、判定対象となった116人のうち54人、47%でした。治療を追加したかと、検査で捉えたがんの反応を、それぞれの対象人数で調べています。

手術を行わず、検査で経過を追う

臨床的完全奏効となった患者は、手術を行わずに経過をみる段階へ進みます。内視鏡やMRI、CTなどを組み合わせ、最初の2年間は4か月ごと、その後は6か月ごとに再発を確かめます。十分な反応が得られない場合や、再発・進行が見られた場合には、担当医が標準治療を検討します。薬の効果を調べ、その後の体の変化も追い続ける治療の組み立てです。

承認後も、有効性の確認を続ける

米国の迅速承認は、承認後の確認試験や追跡を通じて有効性を確かめていく制度です。今回も、患者のその後の経過を調べながら、治療の評価を続けます。処方情報には、免疫に関係する副作用や点滴時の反応などへの注意が記されています。治療の反応と体への影響を確認し、継続的な検査と組み合わせて進めます。

この記事に出てくる用語を確認する
MSI-H・dMMR
遺伝子に生じた誤りを直す仕組みに関わる、がんの特徴を表す言葉です。今回の承認では、どちらかがFDAの認めた検査で確認されていることが対象の条件です。
臨床的完全奏効
内視鏡や画像などの臨床検査で、がんが見つからなくなった状態です。今回の試験では、この状態が12か月続いたかも調べました。
迅速承認
承認後の確認試験や追跡を通じて、治療の有効性を確かめていく米国の承認制度です。
解説の参考資料

本誌の考察

がんを治療する時間と、自分の暮らしを続ける時間

がんの性質を調べ、薬への反応を確かめ、手術を行わずに経過をみる選択肢が加わりました。本誌がここから考えるのは、がんの治療を選ぶときに、その後にどんな日常を続けられるかも、より具体的に話し合える医療です。今回の治療には継続的な検査が組み込まれており、治療とその後の生活を長く見ていく形になっています。

今後、長期の経過に加え、治療後の体の働きや生活の様子が詳しく分かれば、診察で使える情報も増えるでしょう。どのような患者が追加治療を受けずに過ごせたか、どんな負担が残ったか、仕事や外出をどう続けられたかといった情報です。そうした経験を集めることで、患者と医療者が、自分に近い条件の人の経過をもとに話せるようになります。

例えば、家族の世話をしている人が、治療の予定と定期検査の予定を医療者と一緒に見渡せる場面です。体の状態に合わせて、家族へ手伝いを頼む時期や、仕事の予定を相談します。治療を選ぶための説明に、その後の暮らしを組み立てるための情報が加われば、本人が大切にしている役割も会話の中へ入れやすくなります。

さらに、住まいの近くの医療機関と専門病院が検査結果を共有できる体制が整えば、定期的に経過を追う方法にも選択肢が生まれそうです。地域で受けた検査を専門の医療者が確認し、必要な診察や治療へつなぎます。検査を続ける仕組みを暮らしの近くへ置ければ、移動や付き添いの予定も含めて、長い期間の療養を支えやすくなるでしょう。

その先には、診察室で病気の経過と並べて、続けたい仕事や家族との時間を話せる医療が考えられます。次の検査の日を確かめ、その間の暮らしを本人と医療者が一緒に考えます。治療の成果が長く保たれた人は、通院の予定と、庭の手入れや仲間と集まる予定を同じカレンダーに書けるようになるかもしれません。体の状態を確かめながら、自分の時間を取り戻していく未来です。

参考資料

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