未来観測新聞
登録なしで全文公開トップで紹介中の最新記事
エネルギー・環境

森林の変化を年ごとに追う DeepMind、2017〜2025年の初期版データを公開

この記事を共有

ニュースの要点

森林の種類や用途を、世界の10メートル四方ごとに分けます。2017~2025年の年ごとの変化を追う初期版データも公開しました。

ForTy 2020で世界の森林を種類別に色分けした論文の地図。2020年の基準図を示しています。
画像の権利情報

Google DeepMindとGoogle Researchは10月22日、森林の種類や土地利用の変化を2017〜2025年にわたって年ごとに追う初期版データを公開しました。世界資源研究所(WRI)、国際応用システム分析研究所(IIASA)と共同で開発した「Forest Typology(ForTy)」を、時系列で使う取り組みです。

地図の細かさは10メートル四方です。原生林、自然に再生した森林、人が植えて長期的に管理する森林、集約的な木材用植林地、樹木作物・混農林業、それ以外の土地という6種類に分けます。木があるかどうかに加え、自然林が伐採後に植林地へ変わった場合なども追えるようにします。

ForTyの2020年版地図を扱う研究は、5月22日にプレプリントで公開され、10月21日にScientific Dataへ掲載されました。約170万地点の分類例と、衛星観測を要約したAlphaEarth Foundationsのデータを活用しています。今回の発表では、同じ場所の変化を複数年にわたって読む初期版データが加わりました。データはGoogle Earth Engineで利用できます。

このニュースをやさしく解説

要点

今回新たに共有されたのは、2017~2025年の土地の変化を年ごとに追う初期版データです。同じ場所を別の年と比べ、森林の種類や土地の使われ方がどう変わったかを調べられます。

同じ場所の変化を、年ごとに追います

ForTyは、世界の土地を森林の種類や用途で分ける地図データです。今回新たに共有された年次初期版では、2017~2025年の変化を年ごとに追います。既存のForTy 2020が示す2020年の地図に加え、同じ場所を別の年と比べる材料が増えました。

たとえば、ある年には自然林だった場所が、後の年に植林地や農地へ変わった様子を調べます。ある時点の土地の状態と、その後の変化を続けて読むためのデータです。

10メートル四方ごとに土地を分類します

背景となるForTyの地図は、10メートル四方の細かさで土地を扱い、6種類に分類します。原生林、自然に再生した森林、長期的に管理する植林、集約的な木材用植林地、樹木作物・混農林業、それ以外の土地を区別します。

AIの学習には約170万地点の分類例を使いました。衛星観測の情報を要約したAlphaEarth Foundationsのデータも活用し、各地点がどの種類に当たるかを判断しています。

緑が続いていても、森の種類は変わります

木がある場所を追うとき、その木がどんな森林をつくっているかも大切になります。自然林が伐採され、その後に植林地へ変われば、木がある土地でも、その種類や使われ方が変わります。

森林の分類を年ごとに見比べられると、緑のまま起きた変化も調べられます。同じ地点について、どの種類からどの種類へ移ったかをたどることで、その土地の来歴を読む手がかりになります。

分類の結果と確率を合わせて使えます

データは、地球の観測データを扱うGoogle Earth Engineで公開されています。利用者は分類の結果に加え、各種類に当たる確率も使えます。どの種類の可能性が高いと判定されたかを確かめながら調べる形です。

地図の開発では、無作為に選んだ地点について専門家による確認と比較を行っています。分類や確率を、年ごとの記録や現地の情報と合わせて読めば、詳しく確かめたい変化を考える材料にもなります。

この記事に出てくる用語を確認する
ForTy
Forest Typologyの略で、世界の土地を森林の種類や用途によって分類する地図データです。
混農林業
同じ土地で樹木と農作物などを組み合わせて育てる土地利用です。
分類ごとの確率
その地点がそれぞれの森林や土地の種類に当たる可能性を表す値です。
解説の参考資料

本誌の考察

身近な品物から、森の変化をたどる未来

同じ森を年ごとに見比べられると、森林を見るときの問い方が変わります。今回新たに共有された年次初期版データは、2017~2025年の間に、同じ場所の森林の種類や土地利用がどう変わったかを調べる材料です。本誌はここに、遠くの森と日常の選択をつなぐ可能性を見ています。

将来、この地図が木材や樹木作物の産地情報と結び付いた場面を想像してみます。家具を選ぶ人が材料の産地と、その周辺の土地利用の変化を同じ画面で確かめます。産地の記録が整えば、品物から森の来歴をたどる使い方へ広げられるでしょう。

売る側にも、どの森から材料を得て、その場所がどう管理されてきたかを説明する機会が生まれます。地図の分類や確率を現地の記録と合わせて調べることで、説明のために確かめる場所を絞れます。年ごとの変化を見られると、一度の確認に加えて、その後の様子も追いやすくなりそうです。

買い物の場でこうした情報が使われるようになれば、土地を管理する人と買う人の距離も縮まるかもしれません。森林の種類や管理の経緯を説明する生産者と、その説明を読んで長く使う品物を選ぶ人が、共通の地図を見ながら話せるようになります。

さらに、学校や地域の図書館で、身近な机や食べ物の材料から遠くの森を調べる授業も描けます。地図の年を切り替えながら、木がある場所で何が変わったかを考える。森を詳しく分ける公開データは、日々の生活がどんな土地とつながっているかを知る入口になりそうです。

参考資料

無料会員で、もっと読む

気になる未来を、これからも。

無料会員は、ニュースを週3本まで全文で読めます。やさしい解説と本誌の考察で、日々の進歩を追いかけられます。

無料会員に登録する

カード登録不要。気になる記事の保存や、新着メールの設定もできます。