未来観測新聞
登録なしで全文公開トップで紹介中の最新記事
AIAIエージェント

AIの作業履歴を残して費用を削減 Asana、ブラウザー操作の改善を公開

この記事を共有

ニュースの要点

Asanaは、AIがブラウザーで集めた情報を再利用しやすくする実験を公開しました。履歴の保存方法とモデルを変えた構成では、従来の構成に比べて推定モデル費用が約76分の1、所要時間が約5分の1になりました。

書籍目録と比較表、参照した画面の履歴を並べたAIの作業を描く想像図。

Asanaは10月8日、ブラウザーを操作するAIの費用と速度を改善した実験を公開しました。OpenAIも9日に事例を紹介しています。公開された書籍のデモ目録から32冊分、各6項目を集める仕事で、従来の本番構成と、履歴の扱いを改めてGPT-6.1 Solを使う構成を比較しました。後者の推定モデル費用は1回平均0.47ドル、所要時間は約4分でした。

改善の中心は、AIへ繰り返し渡す作業履歴を再利用する「キャッシュ」です。従来は画面の画像や古い文章をほぼ毎回削っていたため、前と同じ部分を再利用しにくくなっていました。チームは保存できる文章量を増やし、画面画像を20枚までためてから最新の1枚へ整理する方法などを調べました。

実験では4種類のモデルに対し、6通りの保存・再利用方法と2段階の文章量を組み合わせ、各条件を3回ずつ、計144回試しました。従来と同じモデルでも費用は約29分の1になり、改善後のGPT-6.1 Solでは従来構成の約76分の1、時間は約5分の1になったと報告しています。この比較には履歴の扱いとモデルの変更の両方が含まれます。

調査と実験にはCodex上のGPT-6 Astraを使い、人が目標を決めて結論を確認しました。依頼内容、利用量、結果はAsanaの開発基盤に記録し、修正内容を人が確認してStackAIへ反映しました。Asanaは今後、利用者が自分のAIの費用、速度、回答の質を比べやすくする仕組みを整える方針です。

このニュースをやさしく解説

要点

AIが次の操作を考えるたびに使う履歴を、再利用しやすい形で残しました。同じ情報を繰り返し処理する負担を減らす工夫です。

AIが参照する作業の記録

ブラウザーを操作するAIは、画面を見て、情報を集め、次の操作を決めます。その際には、これまで見た画面や集めた文章も手がかりになります。作業が長くなるほど、AIへ渡す記録も増えていきます。例えば一冊を調べ終えて次の一冊へ進む際にも、依頼内容や、それまでの作業の記録をAIへ渡します。同じ情報を使う処理が何度も重なるわけです。

そこで役立つのが「キャッシュ」です。前と同じ入力部分の計算結果を再利用し、毎回の処理を軽くします。記録にある文章や画像をどのような並びで渡すかも、再利用のしやすさに関わります。

記録をまとめて整理する工夫

従来の構成では、古い文章や画面画像をほぼ毎回削っていました。このため入力の並びが変わり、前の計算結果を使いにくくなっていました。

今回の改善では、残せる文章量を増やし、画像は20枚までためてから最新の1枚に整理しました。同じ部分を繰り返し使えるようにし、ときどき記録を軽くする方法です。残す情報を増やしても、処理済みの部分を再利用しやすくなれば、全体の費用を抑えられます。Solだけで比べると、推定モデル費用は約4分の1でした。約76分の1という大きな差には、使うモデルの変更も含まれます。

手順の多い用事への広がり

例えば、旅行先の宿を探す場面を考えてみます。予算や移動時間を確かめ、候補を見比べて一覧にするには、多くの画面を行き来します。こうした作業でも履歴をうまく再利用できれば、一連の調べものをAIへ頼む費用を抑えやすくなるでしょう。調べる項目が多くて後回しにしていた用事も、まとめて頼みやすくなりそうです。

この記事に出てくる用語を確認する
キャッシュ
一度処理した内容を再利用する仕組みです。今回の実験では、AIへ繰り返し渡す履歴の同じ部分を処理する負担を減らすために使っています。
ブラウザーエージェント
ウェブ画面を見ながら操作を進め、情報を集めるなどの仕事をするAIです。
推定モデル費用
今回の実験でAIモデルを動かすためにかかると見積もった費用です。
解説の参考資料

本誌の考察

ひとりで店を持つ暮らし

本誌は、履歴を再利用して作業の負担を減らす工夫が、手順の多い仕事をAIへ任せる後押しになると考えます。画面を次々と調べる仕事を安く続けられれば、候補の比較や細かな条件の確認まで含めた用事を、まとめて頼みやすくなるからです。人が途中で引き取る手間も減り、一区切りつくまで任せる使い方が広がりそうです。

その先の暮らしを想像してみます。例えば、働きながら週末だけ小さな雑貨店を開きたい人が、AIに仕入れ先や出店できる催しを調べてもらいます。商品の単価を比べるだけでも、送料、最低注文数、届くまでの日数を各サイトで確かめる作業が続きます。こうした一連の確認を安く頼めれば、帰宅後の時間を商品選びや店づくりに使いやすくなるでしょう。

さらに、調査結果を保存して次の作業へ引き継ぐ仕組みを組み合わせれば、開店後の支援にもつながります。AIが定期的に仕入れ条件や催しの募集を調べ直し、前回から変わった点を知らせる形です。店主は、届いた候補を見て次の出店先を選べます。何度も調べる費用を抑えられることが、こうした継続的な手助けを頼みやすくします。

調べものや比較に使う時間と費用が減れば、趣味を商いに育てるための準備も進めやすくなるはずです。少量しか売らない店でも、細かな事務をAIへ任せられる価格になれば、自分の手で作ることや客と話すことへ時間を振り向けられます。平日の夜に商品を作り、土曜の朝に自分の店を開く暮らしを選べる人が増えるかもしれません。

参考資料

無料会員で、もっと読む

気になる未来を、これからも。

無料会員は、ニュースを週3本まで全文で読めます。やさしい解説と本誌の考察で、日々の進歩を追いかけられます。

無料会員に登録する

カード登録不要。気になる記事の保存や、新着メールの設定もできます。